ブログトップ

BUTTERFLY BRINGS BETTER LIFE

rpsbetter.exblog.jp

蝶のある生活を徒然なるままに

余所から持ってきたオオムラサキを放蝶しても保護と呼びますので宜しく

東京のとある寺が地域の環境保全の一環として山梨県から採ってきたオオムラサキの幼虫(卵?)を
飼育して羽化したらその場で放蝶していることを最近知りました。どうやらもう何年も毎年毎年山梨から
幼虫を採ってきては放しているようです。

以上の3行を読んでどんな感想を持ちましたか?
虫を趣味としている者なら大きな違和感を感じるのではないでしょうか。私はすぐ辞めるべき行為だと
思いました。最初は趣味で毎年飼育をしていて飼育スペース内で累代飼育でもしているのかと思い
調べてみると事情が違いました。

どうやらかつてはオオムラサキが舞う豊かな雑木林があったものの開発によって環境が悪化し絶滅して
しまった。そんななか地域の街づくりとしてかつてのような豊かな自然を回復させるべく取り組みを行って
いてその一環として放蝶してるんだとか(笑)

意味が分かりません。航空写真を見てみると一帯はオオムラサキが生息できそうな規模の雑木林は
全くありませんでした。周辺は全て宅地に囲まれ生息できるならゴマダラチョウやアカボシゴマダラぐらい
じゃないでしょうか。環境の質までは分かりませんがオオムラサキのことを少しでも知っていれば分かり
そうなものですがね。
山梨県産オオムラサキ
a0235150_161927100.jpg

関連したブログや書き込みには「貴重な蝶を保護している」とか「住み着いてくれれば良い」などの
あさっての方向を向いた意見がほとんどでしたので、この場で問題点を書き出しておきましょう。

①遺伝子の攪乱を起こすので放蝶はやめましょう(生物を取り扱う上でやってはいけない行為です)
余所から持ってきた虫をむやみに放してはいけません。他地域の個体群を採ってきて放すことは
もともと生息していた個体群と混ざり遺伝子の攪乱を招きます。その地域特有に進化した特徴を壊す
行為です。今回の場合は既に当地の個体群は絶滅している可能性が高いようですが多摩丘陵など
周辺に生息するオオムラサキと山梨県のオオムラサキが交雑しない保証はありません。

②在来種が絶滅しちゃうかもよ
同じエノキを食樹とするゴマダラチョウは現在外来種のアカボシゴマダラと過酷な生存競争を強いられて
おりますがそこへオオムラサキがやってきたらどうでしょう。しかも狭い雑木林内での話なら。幼虫~成虫
までの各ステージで競合に負けて生息できなくなってしまうかもしれません。放蝶はもともと生息していた
蝶を絶滅に追いやる危険があります。ある種が滅ぶかもしれない行為の裏で保護と微笑む。怖いことです。
ジャコウアゲハとホソオチョウの例を見て学習しましょう。視野を広げて物事を見ましょう。

③生息できる環境があってはじめて生息できるのですよ
毎年毎年、何百、何千とオオムラサキを放蝶しようが生息できる環境が整ってなければ意味がありません。
放した数だけ無駄死にです。かわいそうです。オオムラサキの生息に必要な条件の検証、食樹の把握と
越冬の確認、餌場の十分な確保など調査は行っているんでしょうか?自力で生息できる環境にあるんで
しょうか?そうじゃないから毎年無駄に放蝶してオオムラサキを消耗してるんでしょうけど。

④子供たちに間違った認識を与えるので安易な放蝶はやめましょう
外国産の虫を手軽に買える時代ですが死ぬまで面倒をみるのがスジです。決してかわいそうだからと
野外に放してはいけません。虫に限ったことではありませんが在来種が追いやられて住めなくなったり
交雑してしまう危険があります。かわいそうだと思ってした行為が大きな悲劇を生むことになります。
しかしこのような認識はあまり徹底されていません。メディアをはじめ生物の保護関連の話題は受けの良い
貴重な「美談枠」であり間違った行為であっても当事者は周りからの賛同を受けやすく気持ち良くてなかなか
間違いに気づきません。そういった中で子供達が育つとどうなるか、お分かり?

⑤毎年山梨のオオムラサキを消耗してるってのもねぇ
居付きもしないオオムラサキの幼虫を毎年採ってくるのってどうなの。累代飼育が基本だと思いますが。
それができないから採ってくるんだろうけど、その程度の技量で一つの生物をコントロールできるんで
しょうかね。あとオオムラサキの幼虫は寄生されてたりしますが寄生生物も放たれてしまうってことか。

前にも言ったと思いますが現在はいくらでも情報を入手できる時代です。一つの方向からだけ物事を
見て行った行動はすぐに見透かされてしまいます。物事の良い面、悪い面を自分で調べて自分の頭で
吟味して行動に移すべきです。この工程をないがしろにすると物事がおかしな方向へ向かってしまいます。

また感情論で物事を推し進めるのも疑問符がつくことが多いです。かつてはすばらしい自然があった
のでしょう。でももう失われてしまったのですよ。今ある残された自然を最大限に活かすのがスジだと
思います。余所からあれやこれやと生き物を持ってきてたとえ居付いてパラダイスができたとして
なんの価値があるの?それだったら温室でも作って生態系を再現して観察できるようにしたほうが
教育にも良いと思いますが。

あと検索して出た記事で飼育したオオムラサキを「自然へかえす」ってな表現が出てました(笑)ものすごい
違和感。それ危険行為だから。かえすなら採集した山梨の雑木林に帰してしてちょーだいね!!
[PR]
by aisutorium | 2017-03-01 17:00 | ボヤキ | Comments(2)
Commented by 夢虫 at 2017-03-01 19:46 x
その通りですね。
飼育する上で何よりも気を使うコトは、幼虫を上手く飼育するコトや累代するコトではなく『脱走させない』コトです。
それが基本中の基本だと思います。

『貿易船などの船底に付く生き物や、取り込んだ海水に紛れたこんだ生き物で生態系が変わる』ッてコトも聞いたコトありますが、スケールが違うだけで同じコトをやってると思います。
もちろん飛行機でもそうです。
それらに関しては生活を豊かにする恩恵にッてコトなので、無くせないにしても向き合っていく問題だと思ッていますが
放蝶に関しては、わざわざ進んで同じコトをしている訳ですから、あまりにも無知過ぎると思います。
増やしたいッて気持ちは、痛い程分かりますけどね…(^_^;)

ギフチョウのハンペ、上手くいってそうですね!
累代頑張ってください(^o^)/
Commented by aisutorium at 2017-03-02 10:21
蝶はまだ良い方かもしれませんが蜂や魚でも意図せず侵入し、あるいは飼育放棄をして逃がしてしまい在来種を駆逐なんて話は沢山あるわけで蝶より深刻です。高山への帰化植物の侵入(靴などに種子が付いて人為的に侵入)も問題になっています。
学ぶべき前例があるのに生き物の取り扱いを間違える、またそれを公開してしまうことに疑問を感じます。また素人の方は「きれい!」「凄い!」としか言いませんから誤認を広めることにもなります。問題提起するような記事がなかったので今回書いてみた次第です!

さてギフチョウはあっけなくハンぺ成功です(^^)
♂のやる気があれば1分で完了です!なんとか順調に産卵まで持っていきたいです。

by BUTTERFLY BRINGS☆